夢を運ぶ猫

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 高校からの帰り、俺はいつものように路地裏を歩いていた。  ごくごく普通の進学校に通っている俺は、あることをするためにこの道を通る。 「にゃ~お」  小さな子猫がそこにいた。  生後4ヶ月ほどであろうか、しかしながら身体は小さく、子猫と呼ぶにふさわしい。  茶色い毛並みをした『帽子をかぶった』猫である。  彼女に会うのは、ここ数日の日課になっていた。 「よーし、よし」  なでてくれとせがむ猫に、俺はもふもふとしたその毛並みを堪能させていただく。  これは、勉学に励むこの高校生の唯一の癒やしである。  やっぱり最高だなぁとしばらくなでていると、不意に彼女は立ち上がった。
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