夢を運ぶ猫

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 ちょうど、横断歩道にさしかかった時だったろうか。  彼女に信号などと言う概念があるはずもなく、自動車の通らないタイミングで颯爽と走り抜けてしまった。  俺も走ろうかと考えたが、何せ学校帰りの時間帯だ、交通量も多い。  信号が変わるまでにはまだしばらくかかりそうで、それまでに彼女を見失ってしまいそうだった。  そうしてしばらくして、横断歩道を渡った俺の前には、もう子猫はいなかった。 「あ~あ、残念……」  ため息をついている俺に近寄る陰。  次の瞬間には彼女が俺に飛びかかってきていた。  彼女は俺を待っててくれたのだ。  そうして「ぬふん」と一言。  待たせるんじゃないよと言った態度がなんともかわいらしい。  女の子なんだからおしとやかにしないと、と言った俺の言葉も無視して、またさっさと歩き出した。
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