夢を運ぶ猫

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 もうどれほど歩いているのだろうか。  大通りもぬけ、町の小さな裏山にまでたどり着いた。  間もなく日も暮れそうだ。 「本当にお前さん、どこへ連れて行きたいんだい?」  俺が話しかけても何も返してやくれない。  たまに俺の方を見て、ついてきているか確認してくるくらいだ。  裏山の獣道は、猫は簡単に通れても、人間にはなかなか厳しい。  おいて行かれそうだ。  まあでも、これはこれで楽しいからいっかな、などと思ってきた頃。  開けた土地に出た。
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