忘れ形見

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万次郎がトシ子ばあちゃんの元から姿を消して約3ヶ月がたったある日、家の外から猫の鳴き声が聞こえる。 眠りにつこうと思って布団に入ったトシ子ばあちゃんは、あまりにも長いこと鳴いている猫がだんだんと気になりだした。 まさか、万次郎が帰ってきた? いやまさか、姿を消して3ヶ月もたつのに・・・・・・。 近所の猫が遊びに来ているだけだと思っていた考えが、「万次郎かもしれない」に変わった瞬間、トシ子ばあちゃんは布団から出て猫の鳴き声が聞こえる茶の間に向かった。 80歳の足は速くは動かなかったが、万次郎かもしれないと思う気持ちに後押しされ、トシ子ばあちゃんなりの駆け足になっていた。
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