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睡眠科学研究所はオフィス街の外れにひっそりと佇んでいて、昭和初期の時代に建てられたような木造の屋敷のような感じで、そこだけ異様な雰囲気を漂わせていた。
門のところに呼び出し用ベルのボタンがあって、そのボタンを押してみるとインターホンから、
「どちら様ですか?」
と声が聞こえたので、
「お電話させていただいた如月です。」
と答えると、玄関のロックが解除されて中に入ることができた。
庭の広い屋敷で、石畳に沿って歩いていくと玄関が見えてきて、玄関前に若い女性が立っていた。
「今日は、わざわざお越しいただいて、ありがとうございます。
どうぞ中にお入りください。」
その女性は笑顔で私に声をかけてくれて、玄関で用意されていたスリッパに履き替えるように促された。
屋敷は天井がとても高くて、少し薄暗い感じの静かな空間だった。
女性に案内されて広い廊下を歩いていくと、女性が廊下の途中にある部屋のドアを開けてくれて中に招き入れてくれた。
部屋に入ると奥に机があって、そこには白髪の老紳士が座っていて何か仕事をしているようだった。
女性がソファーに案内してくれて私がソファーに座ると、白髪の老紳士が私の対面に座って挨拶してくれた。
「はじめまして!
私は、この研究所の所長の橘と申します。
よろしくお願いします。」
「如月と申します。
よろしくお願いします。」
私が挨拶すると、女性がお茶を用意してくれて私の前にお茶を置くと、橘さんの隣に座った。
橘さんは、この研究所のことをわかりやすく丁寧に教えてくれて、主に夢に関する研究が主流だという話をしてくれた。
今夢の内容を再生できる装置を開発中で、これが将来どのように役に立つのかわからないけれど研究を続けているという話だった。
私は、夢の内容を再生できる装置の被験者として協力したいと思って、ここに来たことを伝えた。
「睡眠は、十分に取れていますか?」
橘さんからの質問に、
「私不眠症みたいで、なかなか寝付けなくて眠りも浅いようなんです。」
と最近の自分の睡眠について、正直に話をした。
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