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「へー。まあ確かに大雪の日に歩き回ってたら凍死するよね普通は。昔はカイロとか暖房もなかっただろうし」
「……牧瀬君、知ってた? 雪鬼って」
口数の少ない熊崎がポツリと聞いてくる。
「ああ、まあ。俺も仲居さんから聞いた」
知ってるんだ、と言うと詳しく聞かれそうだったのでごまかした。早くこの話題を終わらせたい。
話したくない。いいや違う。思い出したくない。
そんな事を考えながらカードを引かれる。残ったのはジョーカーだ。
「やった、牧瀬君の負け」
濱田がガッツポーズをする。別に悔しくはないが、手元に残ったジョーカーがまた悪魔のような絵でいやでも別の事を考えてしまう。
俺に残ったジョーカー。……嫌な感じだ。
「片付けるぞ」
赤星の言葉に我に返り、トランプを集める。柚木は他にもなんかやろうと言ってきたが、赤星がそっけなく答える。
「大浴場は11時までだ。こいつだけまだ入ってないんだから風呂が先」
見ればもう10時過ぎている。赤星の言うとおり、そろそろ入らないと間に合わなくなるだろう。ホテルではないし、結構古い作りなので内風呂というものはない。大浴場の風呂を逃したら俺は今日風呂なしだ。
「あ、じゃ あついでに俺らももう一回行くかー」
津田も伸びをしながら立ち上がる。女性陣もそれに納得した様子で片付け始め、私たちもちょっと温まろう、と言いながら部屋に戻っていった。
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