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俺に気がついた濱田は「あ」という顔をしたが、柚木は駆け寄って来ると俺に甘えたように言う。
「ねえ牧瀬君、明日なんだけど午前中はラウンジに残ってお茶しない? 寒いしちょっとゆっくりしようよ」
はあ、と内心溜息をついた。これだから初心者と来ると嫌なんだ。思う存分滑れない。どうせ言えば聞いてくれるだろうと踏んでいるんだろうな、どんだけ俺は便利だと思われてるんだ。というかこいつは一体何しに来たのだろうかと思ってしまう。
すると濱田が、口元は笑みを浮かべているが目が全く笑ってない顔で近づいてきた。
「なーに言ってんの、牧瀬君だって滑りたいに決まってるじゃん。めっちゃ上手いんだよスキー。私たちじゃ何が不満なの? 強引についてきたのに」
「えー? だって二人の説明よくわかんないんだもん、スイスイ行っちゃうしさあ」
「しっつれーな、教わっといて。今回は私たちが来させてもらってる立場なんだから迷惑かけないの。牧瀬君ごめんね、気にしないでいいよ。私たちソリでもやるから」
「ちょっと勝手に決めないでよ」
「あんたの運動神経じゃ1ヶ月教えても覚えないから大丈夫」
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