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一見すると仲が良さそうな二人のやり取りをコエーと思いながら見つめ、じゃあと俺は特に返事らしい返事もせずに歩き出す。そうか、女友達ってめんどくさいんだな、そう思わざるを得ない。というか、たぶん、「友達」ではないのだろう。本当に仲のいい友人同士は濱田と熊崎だけのようだ。
「あ、ちょっと牧瀬君! 明日は!?」
なお食いついてくる柚木に振り返らずひらひらと手を振る。すると後ろで濱田が「返事できないよ、ほら、雪鬼が出るし」と笑いながら言っていた。ナイスだ濱田。津田にはちょっと好感度が上がるように話しておくからな。
部屋に戻り、しばらくすると津田と赤星も戻ってきて明日の予定を考えてから俺たちは寝ることにした。うとうとしている時、赤星が小さく声をかけてきた。
「お前、大丈夫か」
「ああ、うん。まあ、軽くトラウマが蘇っただけ。平気だよ、もう昔の事だし」
「そうか。ならいい」
それだけ言うとゴロンと寝返りをうつ気配を感じた。どうやら赤星なりに心配してくれたらしい。無茶苦茶心配されて言われるよりさりげなく言う。お前、俺が女だったら惚れるぞこの野郎。
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