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「だってお前、さっきすげー顔してたよ。なんかこう切羽詰ってるっていうかさ、おっもーい雰囲気っつーか。スキーやってるときはメチャ楽しそうだったじゃん。何で? と思った」
「あー、悪い。ちょっとな」
「柚木のこと?」
「いや全然関係ない」
柚木、とは今回のスキーに参加している女の子の一人だ。スキー初心者で上手く滑れず、もう帰る! とへそをまげてしまって宥めるのに大変だった。一緒に来ているもう一人の友人、赤星はそういう自分勝手な奴が嫌いなので勝手にしろ、ただし一人で帰れよと言い放って先に滑っていってしまったものだから大変だった。ブー垂れる柚木、フォローしなければいけない俺と女子二人組、楽しかったのに一気にテンションが下がった。
もともと今回のスキーは俺と津田と赤星だけで行く予定だった。しかし津田と仲が良い濱田という女の子がその話を聞いて他の子も誘って一緒に行っていいかと言い出し、結局6人になった。スキー上級者は俺たち男三人だったが、女子たちはそうでもなかった。
誰の目から見ても濱田は津田が好きで、これをきっかけにもっと深い関係にもっていきたかったのだろうが連れてきたほかの奴が問題だったのだ。大人しい性格の熊崎という子はまだよかった。柚木と赤星の相性が最悪だっただけだ。柚木はかなりル ックスが良く男にモテるだろうことは容易に想像がつく。ちょっとぶりっ子をすれば今までは男がちやほやしてくれたに違いない。
しかしここにいるのはそういう女が範疇外な俺、そういう女とはお近づきになりたくない津田、そもそもそういう女の生存を認めてない赤星と最悪な面子だっただけだ。何で濱田や熊崎が柚木と仲が良いのかさっぱりわからない。
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