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津田が外を眺めがなら言う。確かにあまりにも積もりすぎると滑りに行く場所までバスが出ないし、スキー場自体も少し整備が必要だろう。今日はあまり滑れなかったので明日はがっつり滑りたい。二泊するのだから、二日目は半日以上は滑っていたいものだ。
「牧瀬、明日はどうするんだあの女」
茶を飲みながらややめんどくさそうに赤星が聞いてくる。まさかまだご機嫌とってあいつに合わせて行動するのか、と目が訴えているのがわかった。
「すねてたら置いてく。濱田たちが連れてきたんだしそれくらいはしっかり管理してもらわないとな」
俺だって冗談じゃない。男を使い勝手の良いツールくらいにしか思ってないんだなこいつ、というのが今日よくわかった。滑りに来てるんであって、女とどうこうするために来たんじゃない。……この考えは枯れてるだろうか。いやだって正直あの三人の中に好みがいるかと聞かれると答えはNOだ。
気が強そうな濱田、内向的な熊崎、いろいろな意味でキャラが強い柚木。三人の前は口が裂けても言えないが、仲良しになりたいなとはあまり思わない。
「津田、お前さっさと濱田との関係なんとかしろよ。あいつがいると柚木がセットでついてくるだろ」
赤星が軽く睨みながらどうでもよさそうに言った。その問いに津田は困り顔だ。
「なんとかっつってもな」
どうにもならん、と言いたかったのだろう。濱田は津田が好きだと思うが、津田にその気はない。ただの女友達だ。告白してきたら断るが、友達としては過ごしたいという微妙なところらしい。本人に「お前俺の事好きなの? 付き合う気はないから」などといえるわけもないので平行線だ。微妙な立ち位置だな。
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