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「そうだろうとも。何も考えずに走っているうちはよいな。直接成果の見える仕事は、どんなにツラくてもまだ報われる」
店主は悪戯っぽい表情だ。
「報われないあんたはサラッとかき込んでとっとと帰って眠れ。もう若くないぞ」
「ふん。親父さんほどじゃないさ。相変わらず口悪いな。漬け物しょっぱいし」
「そりゃワシのせいじゃねぇ。難しい時代のせいだ。無い頭捻って痛めることもねぇからやり過ごせ。得意だろ、のんびりやれ」
小さな丼と湯呑みがにじんだのは湯気のせいにして、昭義は苦く笑った。
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