帰りたい場所

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ガクンと電車が揺れて、昭義は目を覚ました。 考えてみると、あの頃既に高齢だった店主が同じ姿で現れるとも思えない。 けれども、昭義の胃の辺りにはまだしっかりとした温もりがある。 口の中には素直ではない梅干しの酸味と、漬け物の優しくはない塩味が居座っている。 幸せな気持ちのまま、昭義はもう一度目を閉じた。 【完】
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