出会い

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私がそのボーダーコリーと出会ったのは、たまに吹く風が気持ちのいい、ぽかぽかと暖かい春のことだった。学校からの帰り道、少し前にオープンした、まだ入ったことのない小さなペットショップからガラス越しにこちらをじっと見つめているボーダーコリーになぜか心を引かれて店へ寄ってみることにした。店内にはいるとレジに立つ店員以外に人は見あたらなかったが、壁沿いのケースと、入り口付近のガラス窓に沿って置かれた檻の中から沢山の犬と猫の鳴き声が聞こえてきた。店の隅に置かれた檻の中にはさっきのボーダーコリーが座っていた。ボーダーコリーは私が檻の前に立つと澄んだ瞳で私を見上げた。目線を同じにしたくて、私がしゃがんで手を伸ばすとボーダーコリーは匂いをかいだ後、右足を檻の隙間から出し私の手のひらに乗せた。まだほんの子どものはずなのに足は大きく、ずっしりとしていた。特に用事もないのに長居するのは迷惑かと思い、その日は入ってすぐに店を後にした。
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