私の望みは・・・

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私の望みは・・・

「私の望み……本当ならば、ヒーラーとして王宮で働く事が義務付けられていると存じています。 ……しかし私は……スタンリー家に住み、アロマ製品を作り、アルやアルの家族、マリー、サリーと共に過ごす毎日がとても大切で失いたくないものです。出来る事なら今の生活を捨てずに、お手伝い出来ることはすると言う条件をきいて頂けたら…て思ってます。」 「ふむ……なるほど。ユーリの意向はわかった。」 「殿下、私からもお願いします。」 アルが頭を下げている。 「アル……」 「少し話しても良いかしら?」 フィーリーが静かに言う。 「どうぞ。」 殿下が許可する。 「殿下としてはユーリにヒーラーとしての功績をあげて欲しいと考えているのでは無いかな?」 「そうだな。ヒーラーであるからには実績も必要だからね。」 「では殿下、この数ヶ月で国の感染する病気が減っていることはご存知でしょうか?」 「あぁ。先日の報告で知ったところだ。」 「それは話が早い。それはユーリがアロマをこの世界に流通させてからと言う事も抑えていることでしょう。」 殿下は静かに頷く。 「それはつまりユーリは知らずしてではあるがヒーラーとしての働きをしていたということにはならないだろうか?」 「フィーリー様の言いたいことはわかります。私なりに今回検証した結果ユーリのヒーラーとしての役割は特例化しようと考えているところです。」 「殿下それはどう言う事でしょうか?」 思わず口を挟んでしまう。 「さっきも言ったが…私はユーリの作るアロマを自分で使っていたから、これが普通とは違うということを感じたよ。 そこで実験をしてみたんだ。」 「実験ですか?」 「そうだ。ユーリの作る物を仕入れては国境付近の怪我人や病人が多い地域に流通させてどうなるかを確認させてもらった。見事に皆回復していったよ。そこでユーリが作る物に治癒能力がある事が証明されたんだ。」 「それで……殿下はお店でたくさんアロマ製品を購入してくださっていたんですね。」 「そこで提案なんだが…ユーリには今まで通りスタンリー家で過ごし製品を作り……それを王宮へ納品してくれないか?」 「王宮に……?あっでもお店が……」 「実はお店の主には事前に話をしてあるんだ。その代わり、仕入れなどは一切今まで通りで現在の利益分の補償をする約束をした。」 「それでマリアさんは納得されましたか?」
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