寝られない男

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イヤホンやら何やらでごそごそしていると、隣の男が声をかけてきた。 「寝られませんか」。 「はい、寝られません」。 いろいろ説明するのが面倒だったので、この一言で済ました。機内はまだお休みモードで話をするのもはばかられたのだ。すると男は怪訝な顔でこちらを見たが、すぐにぷいっと向こうを向いてしまった。へっ、寝られないなんて贅沢な悩みだ。こちらは眠くて仕方がないのに。 そうだ会議の資料に目を通しておこう。資料を取り出し、おもむろにページを開いて読みだした。そう3ページ目までは覚えている。が・・・。やはり睡魔が襲ってきた。不覚にもとうとう寝てしまったのだ。
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