おやすみなさい

3/3
前へ
/3ページ
次へ
「さいごまで、ここにいて」 「なんだ、そんなこと。心配しなくても君が眠るまでずっと側にいるし、眠ったら家まで送ってあげるよ」 僕は今できる精一杯の笑顔を見せた。上手く笑えてる自信が無いけど。 「そうね、デニーは、優しい人だものね。……ああ、なんだか、眠、たくなったわ」 「薬が効いてきたんだよ。そのままおやすみ、エリザベス」 「ふふっ、何で、急に本名で、呼ぶのよ。おかし、なデニー。でも、そうね。お言葉に甘え、て眠ることに、するわ」 リザは瞼を下ろした。次第に呼吸音が聞こえなくなる。僕はリザの首筋に手を当てた。 「僕が医者だったらよかったのに……ごめん、ごめんねリザ。僕は毒しか作れないんだ」 苦しむリザを救いたくても、治せない。僕にできるのはこれしかない。 立ち上がって、少し軽くなったリザを抱き抱えて自分の国へ向かう。 「こんな事しか出来なくてごめんね」 どうか、せめて、あまり苦しまずにいけますように。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加