0人が本棚に入れています
本棚に追加
「あ、デニー。どうしたの? こんな道端で」
僕が自分の国に帰ろうとした時、何故かリザに出会った。
「偶然通りかかったんだ、リザ」
「そうなの? 」
リザは俯いた。
「ごめんなさい、上手く、立てないの」
「いいよ、無理しなくて。それよりどうしてこんなところにいるのさ?」
「弟の声が、聞こえた気がしたの。聞き間違い、だと思うけど気になっちゃって……気がついたら、こんなところでこんな目にあっちゃった」
リザの脚は前みたいな綺麗な色をしていなかった。
「そっか。後で僕が様子を見に行ってくるよ」
「ありがとう。そう、してちょ、うだい」
呼吸が途切れ途切れになって来ている。もう、長くはないだろう。
「ねえリザ。薬あげるよ。痛み止め。あんまり効かないかもだけど」
「あり、がとう。有り難くもらう、わ」
僕は鞄からコルク栓をした試験管を取り出した。
「じゃあ口を開けて。飲ませてあげるよ」
リザの顎に手を添えて、中の液体を飲ませた。
「ありがとう、デニー。ついでに、ひとつ、お願いしても?」
「うん、言ってごらん」
試験管を握っている僕の右手を、リザの両手が包む。
最初のコメントを投稿しよう!