おやすみなさい

2/3
前へ
/3ページ
次へ
「あ、デニー。どうしたの? こんな道端で」 僕が自分の国に帰ろうとした時、何故かリザに出会った。 「偶然通りかかったんだ、リザ」 「そうなの? 」 リザは俯いた。 「ごめんなさい、上手く、立てないの」 「いいよ、無理しなくて。それよりどうしてこんなところにいるのさ?」 「弟の声が、聞こえた気がしたの。聞き間違い、だと思うけど気になっちゃって……気がついたら、こんなところでこんな目にあっちゃった」 リザの脚は前みたいな綺麗な色をしていなかった。 「そっか。後で僕が様子を見に行ってくるよ」 「ありがとう。そう、してちょ、うだい」 呼吸が途切れ途切れになって来ている。もう、長くはないだろう。 「ねえリザ。薬あげるよ。痛み止め。あんまり効かないかもだけど」 「あり、がとう。有り難くもらう、わ」 僕は鞄からコルク栓をした試験管を取り出した。 「じゃあ口を開けて。飲ませてあげるよ」 リザの顎に手を添えて、中の液体を飲ませた。 「ありがとう、デニー。ついでに、ひとつ、お願いしても?」 「うん、言ってごらん」 試験管を握っている僕の右手を、リザの両手が包む。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加