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「さいごまで、ここにいて」
「なんだ、そんなこと。心配しなくても君が眠るまでずっと側にいるし、眠ったら家まで送ってあげるよ」
僕は今できる精一杯の笑顔を見せた。上手く笑えてる自信が無いけど。
「そうね、デニーは、優しい人だものね。……ああ、なんだか、眠、たくなったわ」
「薬が効いてきたんだよ。そのままおやすみ、エリザベス」
「ふふっ、何で、急に本名で、呼ぶのよ。おかし、なデニー。でも、そうね。お言葉に甘え、て眠ることに、するわ」
リザは瞼を下ろした。次第に呼吸音が聞こえなくなる。僕はリザの首筋に手を当てた。
「僕が医者だったらよかったのに……ごめん、ごめんねリザ。僕は毒しか作れないんだ」
苦しむリザを救いたくても、治せない。僕にできるのはこれしかない。
立ち上がって、少し軽くなったリザを抱き抱えて自分の国へ向かう。
「こんな事しか出来なくてごめんね」
どうか、せめて、あまり苦しまずにいけますように。
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