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メイちゃん
大学の春休みも残り一週間となった朝、メイは動かなくなった。
予感はしていた。ここ二か月、メイは以前からは想像もできないほどに衰弱していた。ご飯をあげてもろくに食べようとせず、食べてもすぐに吐いてしまっていた。ついこの間までは家の中を身軽に動き回っていたはずなのに、今はじっとしているだけだった。
年寄りのおばあちゃん猫で、わたしが小学生のころからずっと一緒にいる。かれこれ十数年以上の付き合いだ。メイは家族の中でわたしに一番懐いていた。体はとてもふっくらとして、見え方によっては狸にも似ている。どこかふてぶてしい態度で居座り、わたしのことなどおかまいなしに傍にい続けた。嬉しい時や悲しい時など、どんな時も図々しいくらいに隣にいたメイは、どこか憎めない奴だった。言葉は通じずとも、そこに生まれる沈黙によって、ここにいることを許されている気がした。
わたしにとってのメイは、家族で、家族以外で分類するなんてできない大切な存在だった。
だからこそ、とても驚いた。
死んでしまったはずのメイが、何事もなかったかのように、わたしのベッドの上であくびをしているのだから。
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