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「なあ渡辺、お前3組の倉科と仲良いよな。付き合ってんの?」
「まさか。里菜と僕はただの友達だよ」
「んー、それにしてはちょっと仲良すぎないか?」
「里菜はそもそも人との距離が近いんだ。佐々木ともそうだろ? それに、僕達はお互い異性として見てないしね」
「ふーん。つまんねえの」
「悪かったな、つまんなくて」
「あのっ……私、渡辺君が好きなの! 付き合ってもらえない……かな……?」
「落合……気持ちは嬉しいけど、ごめん……その気持ちには応えられない」
「……それは、里菜が好きだから?」
「え?」
「だって、みんな言ってるよ? 渡辺君、モテるのに全然彼女とか作らないし、ずっと里菜とくっついてるし……」
「……里菜といるのは、あいつがくっついてくるからだよ。彼女作らないのは、そういうのが面倒くさいだけ。里菜は関係ないよ」
「ねえ、真あんた里菜ちゃんって子と付き合ってるんだって? 一回家に連れてきなさいよ」
「母さん、そんなのどこで聞いてきたのさ……」
「いや、橋本君のお母さんとお茶した時に、偶然聞いたのよー」
「……里菜とはそういうのじゃないから。そもそも僕好きな人すらいないし」
「まあ、高校生なんて恋愛してなんぼじゃないの! つまんないわぁ……」
「息子に面白さを求めんなよ……」
「ねえ真さん?」
「どうした? 急に」
「いやぁ、私本当に良い人と出会えて良かったなぁーって」
「本当にどうした?」
「んー? 私が真さんのこと大好きだよーって話! ……ねえ真さん、私達ずっと『友達』でいようね?」
「……当たり前だろ。僕だって里菜のこと、大切な友達だと思ってるよ」
本当は、……
今日も僕は嘘をつく。
--君の隣に居続けるため。
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