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「しーんさんっ! 今日暇ー?」
「里菜、何だよ急に……暇だけどさ」
「やっぱり、 真さんどーせ暇してると思った! 遊びに行こ? 」
「お前、俺の事何だと思ってるんだよ……まあ、良いけど」
本当は、明日提出のレポートをやらなければならないのだけれど。
今日も僕は嘘をつく。
君との時間を過ごすため。
「さっきの体育で怪我したって聞いて心配で来てみたけど……もしかしてもう平気な感じ?」
「怪我なんて……大袈裟だよ。ちょっと捻っただけ」
「なーんだ、心配して損したー」
「気持ちだけ受け取っておくよ」
本当は、バタバタとした特徴的な足音を聞いて、咄嗟に包帯をほどいたのだけれど。
今日も僕は嘘をつく。
君に格好つけるため。
「真さん真さん、今日調理実習でマフィン作ったからあげるね!」
「里菜、わざわざ届けてくれてありがとう」
「ちょっと失敗して、焦げっちゃったんだけど……味、大丈夫?」
「ん……大丈夫、美味しいよ」
「本当?! 良かったぁー 」
本当は、尋常じゃなく苦いのだけれど。
今日も僕は嘘をつく。
君の笑顔を守るため。
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