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「残念ですが…」
「そんな…なぜあんなに優しい子が」
涙を拭いながらも呼吸を荒げて膝から崩れ落ちた。
カップに自動でコーヒーが注がれる。
香ばしい香りと共にレディの前に差し出された。
「夫は病気でもう随分寝たきりなんです」
母親はソファーに座りコーヒーカップを片手に言った。
「汚染物質の影響ですか」
レディは窓の外の工業地帯を見ながら問う
「今年で75歳になります。幼少の時から工業地帯の近くで暮らしていて、常に汚染空気の中で生活していたとか…。それで効果のある治療薬を探すと言って出て行ったのが最後でした」
「治療薬…?」
「広告が届いたんです」
固形物以外の広告や郵便はデータとして家の端末に届けられる。
母親はその広告を開いた。
「これは…!」
広告には「EX-TASY」と書かれたカプセルの写真が載っていた。
レディは自分の携帯端末と母親の端末をコードで繋いだ。
「この広告、少し借ります」
「どうぞ」
すぐに本部にいるスワンのデスクにデータが送られる
「スワン、見てる?」
通信機能をオンにしてレディが問いかける
「見てるよ…この広告、2ヶ月くらい前から出回ってるやつだよな」
「母親に聞いたんだけど、カートは父親の治療薬としてエクスタシーを探しにエリア2へ行ったみたい」
「出先で事件に巻き込まれたか…あぁ、そうだ、奥さんの情報が分かった」
「ようやく捜査が進みそうね」
「レイが奥さんの方に向かってる。これからどうする?」
「私はもう一度現場を調べるわ」
「了解」
レディは通信を切った
「フレディを探していたんですか?」
母親が尋ねる
「はい、ついさっき居場所が分かったので他の捜査官が向かいました」
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