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序
どうしてこんなことになってしまったのか。
口に出しても仕方の無い疑問を反芻するように思い浮かべた。
東京駅にも近い見慣れた街並みのはずなのに、歩道に這いつくばったまま見上げたのはまったく見知らぬ世界だった。
逃げ惑う人々の悲鳴と怒号、壊れたクラクション、ひっくり返ったバスやタクシー、駅の方からは非常ベルが鳴り響いている。警察か救急か、何かわからないがとにかくサイレンだ。
「……始まっちまったようだな」
学生時代からよく知っているはずの男が、黒い穴のあいた青空を見上げて呟いた。
「……は?」
竹内陽介は言葉もないまま、親友の背を呆然と見上げた。
その日も、さっきまではごく普通の一日だったのだ。
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