愛猫ソノミ

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 カーテンをきっちり閉めていたから、外の様子は見えないんだけど、俺とおふくろもつられて窓を見た。  チリンチリン……  尚も鈴が鳴る音がして、どんどんこっちに近づいてくる。  そして、それはとうとう窓ガラスの前まで来たようだった。  まさかまさか……と思ったけれど、そこでまさかの声がしたんだよ。 「ニャアン……」って。  死んだはずのソノミの声が……。  いやもうビックリよ。  こっちとしては、恐怖以前に「はあああ――っ!?」ってかんじ。  死んだと聞いた矢先に、当のソノミの声がするんだもん。どういうことなのって。  俺はばあちゃんに担がれたのか?  事故死というのは何かの間違いで、奇跡的に生きていたのかもしれないとも思った。  俺はその場で完全に固まってしまったが、ばあちゃんは冷静だった。 「ソノミよ」  とおふくろが小声で言って、椅子から立ち上がりかけた。 「だめだよ。行っちゃ」  ばあちゃんは、おふくろに向かってゆっくりと首を振った。 「でも」 「トラックに轢かれたからね、死んだことがわからないんだよ。迎え入れてはだめ」  ばあちゃんが強く制止するので、おふくろは仕方なく椅子に座りなおした。  そのまま3人で、息を殺して窓を見つめていたら……  ガリガリガリ……  って爪でガラスを引っ掻くような音がした。     
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