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「……雛子ちゃん、もうベッド行っていい?」
切なそうな声に、私の心は揺れる。
でも、私は首を振った。
「まだダメです」
「どうしても?」
「どうしてもダメです。武先輩は、少しは我慢というものを覚えてください」
あからさまに肩を落とした相手に、心はキュンと疼いてしまうが、私も我慢だ。
「でも、もう限界なんだよ。ね、雛子ちゃん。お願い、ベッド行かせて」
私の目の前では、長めの前髪がもさもさしてて眼鏡を掛けている冴えない三年生男子が手を合わせて懇願していた。
「あと少し食べて下さい。好き嫌いしてるから、栄養失調で倒れるんですよ!」
私は叫ぶように言うと、にんじんをフォークで刺し、問答無用で先輩の口に入れた。
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