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「うぇーん…」
突然泣き出した渚ちゃんの可愛らしい泣き声に、あら?どうしたの?と思う間も無く、「蒼井さん、聞いてます?」と山田ちゃんのお叱りの声。
「あっ……うん……」
山田ちゃんは、バックから片手でケープを取り出すと、するりと首に掛けて体を覆うと、その中に手際よく渚ちゃんを入れて授乳を始めた。
その間も、私へのお説教……いや、アドバイスは続いていて…
「蒼井さん、結婚指輪って、なんのために買うと思ってるんですか?まさか、男性からの結婚の約束のプレゼントとか思ってます?」
「えっ……、違うの?」
「はぁーっ、もう」
後輩にあからさまにため息をつかれて、なんとなく悪いことをしてしまったようで、心の中ですみませんと謝ってしまった。
「確かにそういう部分もあるし、自分が既婚者である事をステイタスとして、世間にアピールしたい一部の女性にはそう言う意図もあると思います」
山田ちゃんは、ごっほんと咳払いでもしそうな得意げな表情で、話を続ける。
「私は結婚してる女性が偉いとか、してないからそうじゃないとは思わないので、それはありませんけど」
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