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「……ひとつ、我儘を言ってもよろしいか」
「うん……?」
「もう一度、貴女様を抱きたい。今度こそ優しく……こころもからだも、本当の意味で、穂花の夫となりたいのです」
真摯なまなざしに、曇りなど微塵もありはしなかった。
「大丈夫、もう厭じゃないから……紅の好きなようにして?」
「あまり、煽られるな……乱暴こそしないが、手加減致しかねる」
「あっ……ん」
する……と内腿を撫で上げられては、甘い吐息を抑えきれない。
紅を知る身体は、ふれられた場所から熱が跳躍伝導し、思考をとろけさせる。
「べに……キスして?」
「っ……貴女様が、お望みならっ……!」
口付けは、熱情の抱擁を伴って。
情愛の五月雨は、静かに、あたたかく降り注ぐ。
「ずっと、お傍にいさせてください……心から愛しています……穂花」
甘い痺れに支配される意識の中、穂花は返事の代わりにまぶたを下ろし、頬笑む。
頬笑み返す紅の頬を伝った雫は、紅蓮の蕾へとこぼれ落ち、ふわりと、花開かせた。
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