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「お面、またつけてるんだね?」
秀麗なかんばせの右半分を覆い隠す狐の面。昨晩、紅自身が取り払ったはずのそれは、定位置におさまっている。
「これは、まじないです」
「おまじない?」
「わたしも……かつてはサクヤと同じ、菫の双眸をしておりまして」
「じゃあ、赤い瞳は生まれつきじゃないの?」
「然り」
紅が語るには、こうだ。
自分は生まれつき嫉妬深い性分であるらしく、それを戒める為、父のオオヤマツミが術をかけた。
――嫉みや妬みは見苦しい。
この先もし嫉み妬むことがあれば、嫉妬の烈火がその身に刻まれるだろう、と。
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