*17*面の秘密

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 母性本能をくすぐりにくすぐられ、破顔した穂花は、両腕を目一杯伸ばす。  ぱぁ、と緑の瞳を輝かせた蒼がいざ飛び込まんというところで、襖が開き―― 「失礼致します。食事の支度がととのいまし……穂花!? なりませぬ! そやつに不用意にふれては……!」 「へ?」  室内の光景を目の当たりにするなり、血相を変えた紅が声を張り上げるが、手遅れであった。 「ぎゅう」 「むぐっ……!」  華奢な腕がもたらすは、唐突な息苦しさ。例えるならそう、蛇に首を締め上げられているかのような。  そういえば、蒼は蛇に良く似た妖だったっけ……とどこか遠くのように感じるうちに、酸素が底を尽く。  やがて、糸の途切れたからくり人形のごとく、穂花の意識は暗転した。  
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