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「ひとのすがた、ほんとはダメって、ぬしさまに言われてるの。きょうはおつかいで、ひとになってるの」
「おつかい?」
「……少しばかり用事を申し付けたのですよ。して、蒼、成果の程は?」
「うんとね、がんばりました!」
「そうか……苦労をかけたな」
紅玉をやわらげ、紅はおもむろに右手を伸ばす。
晴れた日の空――天色の横髪を退けて指がそっとふれた頬の鱗近くに、切り傷のようなものがある。そのことに、穂花は初めて気づいた。
「褒美というわけでもないが、このままで」
「ぬしさま?」
「おまえと話したいと、穂花がご所望じゃ。しからばその姿で、その声で、お応えして差し上げよ」
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