*18*一迅の刃

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「ひとのすがた、ほんとはダメって、ぬしさまに言われてるの。きょうはおつかいで、ひとになってるの」 「おつかい?」 「……少しばかり用事を申し付けたのですよ。して、蒼、成果の程は?」 「うんとね、がんばりました!」 「そうか……苦労をかけたな」  紅玉をやわらげ、紅はおもむろに右手を伸ばす。  晴れた日の空――天色の横髪を退けて指がそっとふれた頬の鱗近くに、切り傷のようなものがある。そのことに、穂花は初めて気づいた。 「褒美というわけでもないが、このままで」 「ぬしさま?」 「おまえと話したいと、穂花がご所望じゃ。しからばその姿で、その声で、お応えして差し上げよ」  
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