471人が本棚に入れています
本棚に追加
/479ページ
きょとんと傾げられる天色の頭を撫でる手つきは、この上なく穏やか。ひとのままでも構わないと、紅は許可したのだ。
数拍遅れて輝きを放つ常磐色の双眸は、歓喜の証。
「ぬしさま、ありがと~っ!」
飛びつく、という表現がまさに適当かと思われる抱擁。顔をしかめながらも咎めはしない紅を見る限り、蒼も加減を憶えたようだ。
見た目こそ同じ年ごろだけれど、幼い弟をなだめる兄の顔をした紅を、穂花は見逃さない。
目前の光景に自然と頬はゆるみ、まぶしげに眼を細めた。
最初のコメントを投稿しよう!