*20*花よ咲け

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「ぬしさま、あおがんばった! ごほうびちょうだい!」 「わかっておる。急くな、急くな」  やれやれ、と肩をすくめつつも、紅は畳の上で居ずまいを正す。 「蒼に〝食事〟をさせて参ります。……面を外します。わたしの神気にあてられてはなりませぬから、穂花はこちらでお待ちを」  なぜ紅の神気にふれてはいけないのか。愛する相手であるのに。  甚だ疑問に思えど、声にはできない。  ひそめられた草笛の音色、真剣な面持ちを前に、なにか思うことがあっての言葉とはかり知った為。 「うん、わかった。さくとお話してるね」 「では……穂花を頼んだぞ、サクヤ」 「承知いたしました。どうぞ、お任せを」  穂花、次いでサクヤを見やった紅は、ふわりと紅玉をほころばせる。  そうして蒼を連れ立ち、まぶしい陽光の中庭へと消えていった。  
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