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「いいえ。天孫のなさることは、すべてが是です。夫をご所望なら、何十人でも何百人でも、どうぞお好きなだけ」
「いやっ、それはさすがに無理ですよ?」
「ふふ、冗談です。穂花は人としての生活が長いですから、不誠実に思われることでしょう。ですが実際、神の中には多くの妻をめとり、百を越える子を成した者もございます」
「ひゃっ、百!?」
「えぇ。ですからあくまでそれは可能、ということをお伝えしたかったのですが……正直、私としても思うところがあります。やはり、愛しい方には私だけを見て頂きたいですから……そう願うほどには、私も男であるというわけですね」
「うぅ……神様の感覚って色々すごい」
「無理して合わされる必要はありません。穂花は穂花の思うようになされませ。私は一切咎めませんし、急かしませんし、幾らでもお付き合い致します」
「……優しすぎだよさく~! ありがと~!」
愛情の塊のような言葉を立て続けにかけられては、もう我慢ならない。
感極まった穂花は、自ら甘いの香りの中へ飛び込む。
桜色の袖越しに抱きしめる腕は、予想より力強かった。しかと抱かれ、優しく後ろ髪を梳かれる。
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