*20*花よ咲け

10/11
471人が本棚に入れています
本棚に追加
/479ページ
「恥じらっておいでなのですか? ふふ……かわいらしい」 「わ、笑い事じゃないから!」 「嬉しくもなります。かつて一夜を共にしたときは、私が先導されてばかりでしたから……」 「えっ……ニニギって、その……しょ、処女じゃなかった……とかじゃ、ない、よね……?」  自ら訊いておきながらすこぶる後悔をした。  穴があったら入りたいどころか埋めてほしくてたまらない穂花に、サクヤはふわりと頬笑む。 「ニニギ様は、とても落ち着いた方でしたから」 「すみません……落ち着きがなくて」 「申し上げましたでしょう? 私は一切咎めません。私が抱きたいのは穂花なのです。普段は頼りないやもしれませんが……(ねや)の中くらいは、主導権をいただきますからね……?」 「ちょ、ちょっと待……」 「待ては聞けません。それが男の(きょう)()というものです」  そろりと後ずされば、ずいとよりいっそう距離を縮められる。  逃げることこそ自滅への道と理解したころには、もう手遅れであった。 「……ひゃっ! なにしてるのさく!?」  ワンピースの裾に、サクヤが手をかけたのだ。純白の布が、するするとたくし上げられてゆく。  
/479ページ

最初のコメントを投稿しよう!