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「それでは僭越ながら、今宵はこのサクヤが閨に侍らせて頂きます。……あまり気負われませぬよう」
「大丈夫、さくはきっと優しいもん。誰かさんと違って」
「おや、わたしも優しく致しましたでしょうに。穂花も自らわたしに身を委ねてくださったではありませんか。甘い声で、それはそれは気持ちよさげに喘いでいらして……」
「みなまで言うな!!」
まったくこの神は、純情な乙女をどれほどからかえば気が済むのか。
少なくとも……いたずら心という名の愛情表現を、しばらくは甘んじて受けねばならぬだろう。
それほど、純潔を捧げられた自信が、紅を歓喜させたというわけだ。
「……必ずや、花を咲かせるのだぞ」
「……はい」
羞恥に思考が鈍っていた穂花には、小声のやり取りがどれほど重要な意味を含んでいようかなど、わかるはずもなかった。
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