*21*コヒネガフ

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「それでは僭越ながら、今宵はこのサクヤが閨に侍らせて頂きます。……あまり気負われませぬよう」 「大丈夫、さくはきっと優しいもん。誰かさんと違って」 「おや、わたしも優しく致しましたでしょうに。穂花も自らわたしに身を委ねてくださったではありませんか。甘い声で、それはそれは気持ちよさげに喘いでいらして……」 「みなまで言うな!!」  まったくこの神は、純情な乙女をどれほどからかえば気が済むのか。  少なくとも……いたずら心という名の愛情表現を、しばらくは甘んじて受けねばならぬだろう。  それほど、純潔を捧げられた自信が、紅を歓喜させたというわけだ。 「……必ずや、花を咲かせるのだぞ」 「……はい」  羞恥に思考が鈍っていた穂花には、小声のやり取りがどれほど重要な意味を含んでいようかなど、わかるはずもなかった。  
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