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「なぁ、俺はおまえの友か。それとも兄か」
「まちくんは……私の伯父さん、なんでしょ……?」
「事実なんかどうでもいい。おまえの気持ちを言え」
問われているのか責められているのか、もはやわからない。
返答として赦される言葉は、たったひとつなのだろう。
だが鋭い追及を前に畏縮してしまった穂花には、真知が望む答えを見つけ出す為の1歩を踏み出す勇気がない。
結果として、穂花からの返答はない。水中にでもいるかのような息苦しい沈黙が、真知に痺れを切れさせる。
「俺は……おまえを、愛してる……」
それは……茜の校舎裏で、聞いた。
あのときは戸惑うばかりだったが、血を引く家族である為と知ったいまならば、当然だとうなずける。
……うなずけるはずだった。
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