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「な……にこれ……あつい……っ!」
熱を逃がさねば。早く、早く。
よじる腰は、力強い腕によって絡め取られてしまう。
「あぁ……残念だ。おまえにも間近に見せてやりたいよ。ここに在る、俺の刻印――白い蕾を」
――花を咲かせた者の勝ち。
そうだ……誓約は、はじめからそうであったではないか。
紅とサクヤの蕾が在って、真知のものがないわけがない。
「おまえ以外の女を抱くことがなかったからな……数千年ぶりだが、赦してくれよ……?」
甘い。なんと甘ったるい声音なのだ。
顔を見ずとも、羞恥でどうにかなってしまいそうだ。
「俺の神気で満たせば、高天原で愛し合っていたころのことを、思い出すだろう――……」
背に、肩に、うなじに、次々と落とされる口付け。
「――愛してる。俺の穂花……」
とびきり甘いささやきをこぼした唇は、振り向かせた穂花の桃色のそれに、容赦なく噛みついた。
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