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「一介の付喪神に、そのようなことができるはずもなかろう。金縛りが関の山じゃ」
「その金縛り技術を大事にしまってくれていても構わないのよ?」
「なにを恐るることがありまする。視えぬ者を祟るなど、低俗な真似は致しませぬぞ?」
そう……真知は弱者だ。紅や穂花のように神力や霊力を持たない、ただの善良な人間。
もしも紅を瞳に映すことのできる人間が自分以外にもいたのなら、なにかが変わっていたのだろうか……なんて、どうしようもない思考は置いて行こう。
なにも心配は要らない。紅が人間を害することなど、ないのだから。
「……この渦津神が」
――人間を害することは、ないのだから。
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