*28*凍りつく夕炎(挿絵あり)

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 花でも摘んでいたのだろうか。膝を折っていたそのひとは、自分の喚び掛けに身じろぐ。  彼女の長い射干玉の髪は美しくてとても好きだけれど、背中をすっぽりと覆ったそれがいまはひどく恨めしい。  隠さないで。早く見せて。そのかんばせを…… 「……どちらさまですか?」  そよ風とともに振り向いた想いびとの言の葉に、びくり、と肩が跳ねる。  寂しく思った。そして仕様がないか、とも。 「大変失礼いたしました。突然こんな姿でお目にかかっては、驚かれてしまいますよね」  非礼を詫びたあとは、行儀よく手と手をそろえ、ふわりと花の頬笑みをほころばせる。 「わたくしです――イワナガヒメでございます」 image=510432678.jpg
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