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「というわけで、泣き喚いて言うことを聞きやしないお子ちゃまは、とりあえずぶっ飛ばしてきましたんで。いまごろ、出雲辺りの地面にでも埋まってるんじゃないかな。でもまぁ、あそこ根の国に近いじゃないですか。お母さんに会いたがってたし、むしろ本望なんじゃないですかね。あー仕事した仕事したー」
ㅤ今日も今日とて書簡の山に埋もれ、繰り返し嘆息をこぼしていたオモイカネは、嵐のようにやってきた少年による怒濤の報告を、一方的に聞かされていた。
「……茶でも飲むか?」
「お構いなくー」
「そのほうが良さそうだな」
ㅤにこにこと頬笑んでいるタケミカヅチから、ひとたび視線を外した窓の向こう側は、轟々と吹き荒ぶ嵐。止むことのない雷雨が、かの神の帰還と共にやってきたのだ。
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