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「姪……オモイカネさんの、姪……ぜんっぜん似てない……」
「どういう意味だコラ」
「だってこれ、ホントあり得ないって……」
ㅤ予想外の衝撃は、目眩をも引き起こすらしい。
「わぁ!ㅤおつかれですか?ㅤおにいさんも、おやつ、たべますか?」
ㅤふらつき、壁へもたれかるタケミカヅチ。ぎょっと飛び跳ねて駆け寄ってきた幼子は、潤む瞳で少年を案じていた。その純粋な輝きに、タケミカヅチの中の崩れてはいけないなにかが崩壊する。
「超かわいすぎるんですけどぉ~っ!」
「ふぎゅっ!」
「はぁぁ……手足短い、ほっぺふにふに……ねぇきみ、マジでなんなの……かわいいかわいいかわいい……」
「おいタケミカヅチ!ㅤニニギが潰れる、離せ!」
ㅤ滅多なことでは取り乱さない。そんな神が我を忘れたとき、どうなるのか。答えは簡単――止められない。
ㅤ無我夢中でニニギを掻き抱くタケミカヅチが、力ずくで引き剥がしにかかったオモイカネの説教を食らうことになるのは、すぐ後の話。
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