*48*喪失の記憶

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 ふわりと浮いたような、身の置きどころのない浮遊感の一瞬後。  ――ずぶんっ! 「ひぁあああっ!」  胎内まで貫かれる感触に、穂花(ほのか)は肺呼吸を損ねた。  何かとてつもない質量のものが、おのれを串刺しにしている。  生理的な涙のにじむ視界で、穂花がやっと認めることができたのは、覆いかぶさる男の陽根に、深く深く貫かれているということだった。 (まさか、まさか……っ)  いま男に抱かれているのは、穂花(おのれ)だった。  ニニギの肉体へ吸い寄せられるかのごとく、同化してしまった。  信じられない。だが、否定しようのない事実なのだ。 「まって、くださ……ぁんっ!」  すぐさま男の胸を押し返そうとするも、腰を打ちつけられ、悲鳴がもれる。 「待てないよ……僕がどれだけ我慢したと思ってるの」 「ひっ、やぁ……!」 「はぁっ……ひさしぶりの姉様だ……僕の、姉様……っ!」  穂花をきつく抱き込んで密着した男の律動が、小刻みなものに変わる。
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