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ふわりと浮いたような、身の置きどころのない浮遊感の一瞬後。
――ずぶんっ!
「ひぁあああっ!」
胎内まで貫かれる感触に、穂花は肺呼吸を損ねた。
何かとてつもない質量のものが、おのれを串刺しにしている。
生理的な涙のにじむ視界で、穂花がやっと認めることができたのは、覆いかぶさる男の陽根に、深く深く貫かれているということだった。
(まさか、まさか……っ)
いま男に抱かれているのは、穂花だった。
ニニギの肉体へ吸い寄せられるかのごとく、同化してしまった。
信じられない。だが、否定しようのない事実なのだ。
「まって、くださ……ぁんっ!」
すぐさま男の胸を押し返そうとするも、腰を打ちつけられ、悲鳴がもれる。
「待てないよ……僕がどれだけ我慢したと思ってるの」
「ひっ、やぁ……!」
「はぁっ……ひさしぶりの姉様だ……僕の、姉様……っ!」
穂花をきつく抱き込んで密着した男の律動が、小刻みなものに変わる。
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