*8*散りゆく此花

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 凛然たる宣言の余韻に、対峙する二柱。  その間を春の夕風が肩身を狭そうにして吹き抜け、宵の向こうへ消えてしまった。 「かしこまりまして。では――……」  優雅な所作で辞儀をするものと思われた一瞬のうちに、鈍い輝きが鼈甲をよぎる。 「愉しみに、しておりますね……?」  穂花の後を継いだ右手は、竹箒を握っていたはずと記憶していたが。  押し当てられた硬質なそれは、研ぎ澄まされた冷たさで頸動脈をしかと捉えていた。  ――白銀の片手剣。構えの風格から、にわか仕込みでないことは容易に見て取れよう。 「宜しく」  微塵も動じぬ単調な返答に、花の笑みがひとつ、ほころぶ。  茜に散らされ、舞い狂う薄桃の……此花(このはな)のように。  
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