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*15*こころとからだ
――まるで、鈴にでもなったかのよう。
肢体の柔らな線をくすぐるささいな刺激にも反応してしまう己の、なんと浅ましいこと。
鼻にかかった甲高い声が自分のものだなんて、到底信じられない。
「かわいいひと……」
女を、いや穂花を知り尽くした指先であった。
生娘であったはずの身体もまた、艶かしい草笛の音色を受けて熱を持つ。
「やだ……やだ」
「ふふ……〝もっと〟……ですね?」
「あッ……だめ、べにぃっ!!」
やめてくれという本気の訴えに、彼の神は聞く耳を持たなかった。
ひときわ強い刺激で、津波のような熱が押し寄せる。
悲鳴じみた嬌声に、紅は秀麗なかんばせを歪めて耐え忍ぶ。苦悶ののちに胸を支配するのは、充足感や征服感といった、打ち震えるほどの快楽だ。
「嗚呼……漸く、わたしを喚んでくださいました。貴女様より頂いた名……わたしの宝物……もっと、わたしをお求めになれば良い……」
「んっ……」
翠の絹髪が鎖骨をかすめる。
寄せられた唇が、吸い付くように、甘噛むように、薄紅の花弁で胸許の蕾を無数に彩る。
咲かせようとしているのか、散らそうとしているのか、もうわからない。
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