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*22*遥かなる懐古【R18】
にわかに巻き起こった深愛の嵐は、またたく間に乙女を呑み込んだ。
いけない、駄目だと抵抗していたなけなしの理性も、いまとなっては意味を成さない。
もう、まぐわってしまったのだから。
「……気持ちいいか?」
わずかに離れた鼈甲の瞳が、熱を浮かべたまま問う。こくりと首を前に倒し、肯定を知らせた。
散らされた花びらは元には戻らない。ひとたび諦めてしまえば、与えられる快楽に身体は満たされてゆく。
「……俺につかまれ。ゆっくりする。辛くなったら言え」
一度交わった為か、受け入れられているという安堵の為か……
制止の間もなく華奢な身体を暴いた真知の表情は、実に凪いでいる。
彼は恐ろしくなるほどに、優しかった。
ゆるゆると繰り返される律動に合わせ、寝台がきしりと鳴く。そして穂花もまた。
「あっ……ん……や、ぁ!」
熱は溜まっていく一方であるのに、一向に発散させてはくれない。
意地悪ではない。穂花の身体を大切に扱うからこそ。そうとわかってはいても、辛くて仕方がない。
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