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*27*鶯の鳴く夕
「――ということで、大事を取って、穂花にはお部屋で安静にして頂いております」
時分は黄昏時。淡く茜を帯びた居間にて、三柱が膝をつき合わせている。
腕組みをして耳を傾けていたそのうちの一柱、知恵の神たる青年が、神妙な面持ちで口を開く。
「成程、ついに俺の子が出来たか」
「黙らっしゃい。そのお耳は飾りなのですか? 穂花は疲労の為に休養なされているのです。どなた様の所為かは知りませぬがな」
すぐさま異議を申し立てる草笛の音色。容赦なくねめつける紅玉を見据え、真知は鼻を鳴らした。
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