*7*夕桜の邂逅

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 あぁ……知っていた。本当はわかっていた。  だのにこうして突きつけられた現実は、ものの見事に呼吸を奪う。 「だって私っ……さびしいの、いやだよ……どうすればいいの……っ!?」  もう、限界のようだ。  真知の前では張ることができていた虚勢が、崩れてしまう。  紅に殻を暴かれて、臆病な自分を引きずり出されてしまう。  自分は弱い。いつも独り。金切り声で喚き散らし、前に歩み出すこともできない。  ひた隠していた劣等感の塊が白日のもとにさらされるなど……なんて恐ろしい。 「なにを躊躇われる。そんな者、悉く切り捨ててしまわれよ」  それができたら苦心はないのに。  切り捨てる。すなわち、あとに残るのは孤独のみ。  それでも尚この付喪神は、そうせよと言い張るのか。 「独りではない。わたしがおります。あんなもの、ご覧になるな」  衣擦れの音を伴い、闇が(おとな)う。  紺青の袖が、両のまぶたを覆った為に。  
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