0人が本棚に入れています
本棚に追加
そしていま。
私は島との連絡船に乗って移動している。
ほんの十分程度の短い航海だが、普段船に乗るということがない私はそれだけで少し興奮していた。
船には島民と思われる人が十数人は乗っていた。ほとんど年配の方々だった。
明らかに存在が浮いている自覚はあったが、仕方ない。
一応観光に訪れる人もいないことはない島だ。
時季外れの変な観光客だと思われてはいるだろうが。
島の港に着き、島に降り立った。のどかな島だ。
耳を澄ませば海鳥の鳴き声が聞こえてきて、車の音も稀にしかしない。
さて、それにしても猫がいない。
仮にも猫島と呼ばれているくらいなのだから、船から下りると同時に数匹は目撃するものと思っていたのだが、全くいない。
最初のコメントを投稿しよう!