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「だから、何度言ったらわかるのかね! 私は!」
「地球を亡ぼしにきた恐怖の大魔王なんだろ。もう何回も聞いた」
「だったら! それ相応の扱いをしたらどうかね!」
「だから、丁重にもてなしてやってんだろ」
ほらほら、と喉を撫でると、膝の上でソイツは気持ち良さそうに目を細めた。散々人の手を堪能し、喉を鳴らしてから、
「そういうところが! 駄目だと言っているのだ!!」
はっと、気づいたかのように叫んだ。
「そういうところが、恐怖の大魔王っぽくないって言ってんだよ」
大体、恐怖の大魔王ってお前さ、
「猫だし」
「猫じゃない!」
あぐらをかいた俺の足に収まっていた黒猫が、立ち上がるとシャーっと吠えた。
残念ながら、どこからどうみても猫です。喋って、自分のことを恐怖の大魔王とか言い出すことをのぞけば。
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