寂しい夜に黒猫を

2/6
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
「だから、何度言ったらわかるのかね! 私は!」 「地球を亡ぼしにきた恐怖の大魔王なんだろ。もう何回も聞いた」 「だったら! それ相応の扱いをしたらどうかね!」 「だから、丁重にもてなしてやってんだろ」  ほらほら、と喉を撫でると、膝の上でソイツは気持ち良さそうに目を細めた。散々人の手を堪能し、喉を鳴らしてから、 「そういうところが! 駄目だと言っているのだ!!」  はっと、気づいたかのように叫んだ。 「そういうところが、恐怖の大魔王っぽくないって言ってんだよ」  大体、恐怖の大魔王ってお前さ、 「猫だし」 「猫じゃない!」  あぐらをかいた俺の足に収まっていた黒猫が、立ち上がるとシャーっと吠えた。  残念ながら、どこからどうみても猫です。喋って、自分のことを恐怖の大魔王とか言い出すことをのぞけば。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!