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バッと右手で奴をつかむ。
つかまれたそいつは音を出し続けるものの、だいぶくぐもった音となった。
慌ててスイッチをオフにする。それでもコチコチという秒針の音は止まらない。
そいつは俺に遅刻までの制限時間を告げていた。
「嘘だろおい」
どこから夢だったか分からなかった。
どうやらキーボードにほおずりするように寝ていたらしい。
ほほに変な後ついてないよな…。
気になってほっぺたを触るがそんな場合ではない。
焦燥感に駆られつつもブラックアウトしているパソコンを立ち上げた。
きっとうとうとしているときに落ちたんだ。4時半に起きたのは確かのはず。
だったらもう半分近く、下手したらほぼ終わりの状態かもしれない。
一縷の希望にかけて俺は画面をのぞき込む。
題名と、名前と、意味不明の羅列がそこにはあった。
「めっちゃ最初のほうで落ちてんじゃん」
どこまでも夢だったらしい。
俺はすべてをあきらめてベッドのほうへとよろよろ歩いていく。
何か踏んづけた気がするがきっと放置していた週刊誌の漫画だろう。
ベッドに横になり毛布を引っ張り上げ全てを拒絶するように丸くなる。
そうして俺は眠った。
敗北者のふて寝だった。
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